はじめに
日ごとに風が冷たくなり、夕方になると少し肩をすくめてしまうような季節―秋。
40代のワーママにとって、季節の変わり目は「なんとなく疲れやすい」「体が冷えやすい」といった不調を感じやすい時期でもあります。仕事や家事、家族の予定……と慌ただしい毎日の中では、自分のケアはどうしても後回しになりがちですよね。
そんなときこそ取り入れたいのが、インドに伝わる伝統医学 アーユルヴェーダ による体質別ケア。
アーユルヴェーダでは、人の体質や不調の傾向を「ドーシャ(生命エネルギー)」で説明し、季節やライフスタイルと合わせて心身を整えていきます。
特に秋は、ドーシャのひとつである「ヴァータ」が乱れやすいといわれ、冷えや乾燥、不調が出やすい時期。今日は、そんな秋にぴったりの “ドーシャ別温活ケア” を、忙しいあなたでも日常に取り入れやすい形でご紹介していきます。
アーユルヴェーダの成り立ちと考え方
アーユルヴェーダ(Ayurveda)は、約5000年以上の歴史を持つインドの伝統医学。「アーユル」は生命、「ヴェーダ」は知識や科学を意味し、“生命の科学”とも呼ばれています。
現代のように医療が発達していなかった時代から、「どうすれば心と身体が健康でいられるのか」という知恵が積み重ねられ、今も世界中で支持されています。
アーユルヴェーダの特徴は、単に病気の治療ではなく、
- 体質
- メンタル
- 環境
- 季節
- ライフスタイル
など、さまざまな要素を総合的にみて、心身のバランスを整えていく点にあります。
アーユルヴェーダの基本:ドーシャとは?
1. そもそもドーシャって?
アーユルヴェーダでは、人の心と身体の状態を左右する基本エネルギーを「ドーシャ」と呼びます。
- ヴァータ(風・空のエネルギー)
- ピッタ(火・水のエネルギー)
- カパ(水・地のエネルギー)
この3つのバランスが崩れると、体調が乱れたり、気持ちが不安定になるといわれています。
ドーシャは生まれ持った体質だけでなく、季節や生活習慣、ストレスなどでも変化するため、日々のケアが大切です。
2. 秋は肌寒さと乾燥で“ヴァータ増大”に注意
秋は気温が下がり、空気が乾燥していく季節。これらはヴァータを乱す大きな要因です。
ヴァータが増えると、
- 手足の冷え
- 乾燥肌
- 便秘
- 不安感
- 寝つきの悪さ
といった不調が出やすくなります。
ワーママの生活は忙しさとストレスによって、もともとヴァータが乱れやすい傾向があります。だからこそ秋こそ、体質に合わせたケアがとても大切なのです。
3. まずは自分のドーシャを知ってみよう
「私はどのドーシャ?」と気になる方も多いはず。
簡単な傾向としては以下の通りです。
- ヴァータ型:痩せ型・冷え性・乾燥しやすい・考えすぎる・眠りが浅い
- ピッタ型:体温高め・汗をかきやすい・完璧主義・イライラしがち
- カパ型:がっしり体型・むくみやすい・のんびり屋・冷えは下半身に出やすい
複数に当てはまる“ミックス型”も多いので、あくまで目安として捉えてくださいね。
ヴァータ体質の秋温活:じんわり温めて“ほぐす”ケア
1. 温かいオイルで心と身体を包み込むセルフマッサージ
ヴァータが乱れやすい秋におすすめなのが、アーユルヴェーダの基本ケア「アビヤンガ(オイルマッサージ)」。
使うのは セサミオイル(太白ごま油)。体を内側から温める働きがあります。
夜、寝る前に足、手、腰まわりを中心にやさしく撫でるようにマッサージすると、ゆっくりと緊張がほぐれ、冷えによる不眠の改善にも役立ちます。
2. 食事は“温かい・油分・甘味”を意識する
ヴァータが乱れると胃腸も弱りがち。秋は特に、
- 温かいスープ
- 消化に優しい煮物
- 根菜類
- 良質なオイル(ギー、オリーブオイル)
を意識するとよいでしょう。
仕事に家事に忙しいワーママには、朝は温かいスープ+トーストのように、胃腸に負担の少ないメニューがおすすめです。
3. 夜の“冷やさない習慣”で深い眠りへ
ヴァータが高まると眠りが浅くなりがち。
- 腹巻き
- レッグウォーマー
- 湯たんぽ
で下腹部を温めるだけで、驚くほど寝つきが良くなります。
スマホの見過ぎはヴァータを乱すので、寝る前1時間は画面を見ない工夫が◎。
ピッタ体質の秋温活:火のエネルギーを穏やかに整える
1. 「温めすぎない」温活がポイント
ピッタは火のエネルギーが強いため、冷えとは無縁と思われがちですが、実は外側は冷たくても内側が熱を持っている“隠れピッタ冷え”の方が多い体質です。
秋は気温差で自律神経が乱れ、身体がうまく熱を調整できず、
- 顔だけほてる
- 汗が止まりにくい
- イライラしやすい
といった症状が出ることがあります。
2. 温活は“ゆるめる・冷ましすぎない”が大切
ピッタ体質は、熱をこもらせないケアが必要です。
- 温かい白湯
- 軽いストレッチ
- ゆったりペースのウォーキング
がピッタのバランスを整えます。
激しい運動は熱を増やしてしまうので、秋のウォーキングは絶好のケアになります。
3. 香りの力で心をクールダウン
ピッタ体質の秋は、香りのケアもおすすめ。
- ラベンダー
- ローズ
- サンダルウッド
など“鎮静系の香り”を深呼吸するだけで、気持ちの高ぶりがすっと収まります。
仕事で気が張りやすい40代のワーママにぴったりのリセット習慣です。
カパ体質の秋温活:めぐりを良くして軽さを取り戻す
1. カパ体質は“冷えの蓄積”に注意
カパは水と地の性質を持つため、体内に冷えや水分をため込みやすい体質。
秋は冷気が下半身にたまり、
- むくみ
- 冷え
- だるさ
を感じやすくなる時期です。
2. 動いて、流して、温めるケアを】
カパの秋温活は、とにかく“流す”ことが鍵。
- 早歩き散歩
- 軽い筋トレ
- リンパマッサージ
など、血流とリンパの流れを促す習慣が効果的。
家事の合間に“つま先立ち→かかと落とし”を数回繰り返すだけでも、むくみ改善に役立ちます。
3. 食事は“スパイス”と“温性食材”が味方に
カパ体質は代謝が落ちやすいため、秋は特に温める食材を意識しましょう。
- 生姜
- シナモン
- ブラックペッパー
- 玉ねぎ
- 白ネギ
など、身体を温める食材がぴったり。
夕食のスープに生姜をプラスしたり、朝の紅茶をシナモンティーにするなど、無理なく続けられる工夫がおすすめです。
ミックス体質さんの秋温活:一番乱れやすいドーシャを優先して
1. 「季節 × 生活リズム」でケアを選ぶ
ヴァータ・ピッタ・カパのすべてに当てはまる“ミックス体質”の方は、
季節の影響を最も受けているドーシャから優先的にケアすることが大切です。
秋は多くの人でヴァータが乱れやすいため、
- 冷え
- 乾燥
- 不安感
があるときはヴァータのケアを軸にすると◎。
2. 無理のない範囲で「足し算ケア」を
ミックス体質さんは、
- 温かい飲み物
- 適度な運動
- 睡眠習慣の見直し
など、基本を大切にすればOK。
忙しいワーママでも取り入れやすいケアが多いので、負担のないペースで続けてみましょう。
まとめ
秋は、アーユルヴェーダで“ヴァータが乱れやすい季節”といわれ、冷えや乾燥、心の不安定さが出やすい時期。
でも、ドーシャに合わせたケアを取り入れることで、無理なく快適に過ごすことができます。
- ヴァータ体質さんは「温めて包み込むケア」
- ピッタ体質さんは「熱をこもらせず穏やかに整えるケア」
- カパ体質さんは「巡りを促して軽さを取り戻すケア」
忙しい40代のワーママでも、今日からできることはたくさんあります。
あなたの心と身体に合った温活を取り入れて、秋をやさしく、心地よく過ごしていきましょう。


